タメブロ

日々の中で気付いた少し為になること

MENU

表面利回りと粗利回りの違い、NOI利回りとNCF利回りの違いを簡単に説明する。

はじめに

インターネット上で利回りと検索するといい加減な説明が出回っていたので、鑑定士の私が超簡単に説明します。

なぜ簡単に説明するかというと、利回りの世界は奥が深く、論理的に説明するには大学院レベルの学習が必要だからです。

利回りの基本

基本式は以下の通りです。この利益の部分をどのように計算するかによっていくつかの利回りが出てきます。

利回り = 利益 ÷ 不動産価格

なお、利回りは通常、1年間の利回りを用います。

どういった利回りを用いても一貫して統一していれば、不動産価格と利益と利回りの三者の関係は維持されます。

ですが、売り手が表面利回りの話をしているのに、買い手がNOI利回りの話をしていたら、当然トラブルの元になります。

利回り事例を収集するときも同様に、一貫性がないと事例としての信頼性がなくなってしまいます。NOI利回りを事例から把握する場合には、基本的にNOI利回りの事例を集めなくてはなりません。

個人向け投資用マンション等を扱う仲介会社さんがよく使う利回り

表面利回り

表面利回り = 満室想定の賃料等収入 ÷ 不動産価格

賃料等の”等”は、共益費収入、礼金収入、更新料収入、駐車場収入、駐輪場収入、自動販売機収入、看板収入等です。

つまり満室想定の最大可能収入を不動産価格で割ったものが表面利回りです。

中長期的にみて空室が発生し易いエリアに存する物件については、あまり意味のない利回りです。

粗利回り

粗利回り=(満室想定の賃料等収入-空室損失相当額) ÷ 不動産価格
粗利回り= 運営収益 ÷ 不動産価格

表面利回りに空室率(空室損失相当額)を加味した利回りです。

(満室想定の賃料等収入-空室損失相当額)は「運営収益」ともいわれます。

空室損失相当額は、現在の空室ではなく、中長期的にみたときの空損を計上します。

こちらも費用項目を考慮していないので、投資物件の査定や比較にあたってはあまり信頼のできない利回りです。

投資可能性の可否をざっくり判別するときなどに使えるかもしれませんが、査定に使うには粗すぎる利回りです。

NOI利回り

NOI利回り=(運営収益 ー 運営費用) ÷ 不動産価格
NOI利回り= 運営純収益(NOI) ÷ 不動産価格

運営収益から運営費用を控除した「運営純収益(NOI:Net Operating Income)」に対応した利回りです。

運営費用は、1年間に発生すると見込まれる費用を中長期的な観点から計上します。(3年に1度しか発生しない費用は、1年換算して計上するイメージです)

運営費用は主に、ビルメンテナンス費用(BM費用)、賃貸管理費用(PM費用)、修繕費、原状回復費(オーナー負担分)、固定資産税・都市計画税、テナント募集費用(新規・継続)、保険料等で構成されます。

なお、通常、減価償却費は運営費用には計上せず、利回りに含まれていると解釈されています。

新築の賃貸マンションであれば、一定の精度で経費率が推定できますので、個人的にはざくっと経費率で査定してもよいのではないかと思います。

NOI利回りは費用を考慮しているので、物件の個別性をより強く反映した利回りが把握されます。

大規模な投資用マンション等を扱う資産運用会社等がよく使う利回り

より精緻な価格査定が必要とされる大規模物件の取引等では、NOI利回りとNCF利回りが良く使われます。

不動産鑑定士が収益価格を算定する際に用いる「還元利回り」は、通常、このNOIベースの利回りやNCFベースの利回りとなります。

不動産鑑定評価では、純収益を利回りで割り戻すと収益価格が求められますが、この時、純収益を”資本還元するために用いる利回り”という意味で、”還元利回り”と呼ばれています。

還元利回りはCR(Capitalization Rate)と表記され、キャップレートと呼ばれることも多いです。

NOI利回り

NOI利回りについては前述の通りです。

NCF利回り

NCF利回り=(運営収益 ー 運営費用)+敷金の運用益ー資本的支出 ÷ 不動産価格
NCF利回り=純収益(NCF) ÷ 不動産価格

NOIに敷金の年間運用益を加算して資本的支出を控除した利益を、純収益(NCF:Net Cash Flow)といいます。

大型物件となると、敷金の額も大きくなりますので敷金の運用益を考慮します。

また、中古物件は資産ごとに今後発生するであろう資本的支出の額が大きく異なってきますので、建物の状況を踏まえた資本的支出の額を純収益の査定にあたって考慮します。

NCFが最も精緻に物件の状況を反映しているため、J-REIT等の証券化対象不動産の鑑定評価では、NCF利回りが用いられています。

最後に

同じ物件について、各利回りを求めてみるとお分かりになると思いますが、表面利回りとNCF利回りでは大きく異なります。

物件オーナーが1年間で得られる利益はNCFですので、利回りはNCFベースで把握すべきかと思います。

そうしないと、『(表面)利回りが5%と聞いて購入したのだが、空室損失を控除して費用を払ったら、NOI利回りがローン金利を下回ってしまった。』なんてことになりかねません。

自分の身は自分で守りましょう!  

www.tameblo.work